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韓国・゙国(チョ・グク)問題

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[韓国・゙国(チョ・グク)問題]2019.10.1

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 韓国において、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、多くの国民の反対を押し切って、チョ・グク氏を日本の法務大臣にあたる法務部長管に任命を強行しました。日韓関係とはまた違った意味で、韓国の歴史的影響が色濃く反映された問題だと言えると思います。以下、歴史をひも解いてみたいと思います。

 朝鮮は、以前にも申し上げました通り、中国の冊封体制下に組み込まれたことによって、中国の政治体制の多大な影響を受けることとなりました。法理論的には、儒学の中でも善悪を厳しく判別する朱子学を導入しました。朱子学は、政治レベルの法理論に留まらず、国民の生活レベルまで支配するイデオロギーとなりました。官僚の登用については、中国で行われていた科挙を導入しました。当然のことながら、試験科目は朱子学が理解できているかを試すものです。中国と同様に、科挙を突破した人は、強大な権限を有する国家官僚となります。一代限りの貴族ともいえるでしょう。国家官僚は、士大夫と言われ、朱子学のヒエラルキーである士農工商の“士”になるのです(日本の士農工商の士は、武士の士ですから別物です。)。国家官僚は中国同様に、権力をほしいままにして私的財産を不正に蓄財することも多かったでしょうから、権力も財力も手に入れられるわけです。驚いたことに、科挙は誰でも受験できました。朝鮮王朝の時代においては過酷な受験戦争があったと想像するのは容易です。

 翻って、今の韓国ではどうでしょうか。日本は大分受験戦争が和らいだ感がありますから、韓国が世界で一番受験戦争がきびしい国ではないでしょうか。良い大学に入り、国家公務員になるか、サムスンやSKなどに入社することが、現代の科挙の成功者と言えるからです。ここで、国家公務員が“士”であることはわかりますが、サムスンやSKは、“工”ではないかというご意見があるかもしれませんが、士農工商の時代の農民、工人、商人は、あくまで“肉体労働者”としての存在です。サムスンやSKの幹部は十分“士”です。チョ・グク氏の娘は、大学の医学部に不正入学したのではないかと詮議されているわけで、医者も“士”であることは異論のないところで、一般の大学受験者にとってみれば、許しがたい悪者ということになりましょう。大学で、ろうそくデモが起きるのも一般学生にとってみればむべなるかなと思われます。科挙の国において許されざる不正義なのです。

 今回のチョ・グク氏の法務部長官就任に対しては、韓国内の野党から総ブーイングの抗議が止みません。日本でも、政権与党に対する野党の攻撃ということはありますが、朝鮮においては、昔から特に李氏朝鮮の時代から、いわゆる「党争」と言われる政権内でのドロドロの派閥争いがあり、相手方派閥の足を思い切り引っ張りあうという抗争を繰り返してきました。ではそんなに重要な政治上の争点をめぐっての争いかというと、お互い朱子学を学んで科挙を突破した者同士ですから、言って見れば重箱の隅をつつきあうという、論議のための論議による抗争でした。その為に、優秀な人物でも党争に巻き込まれてしまえば、失脚し、最悪の場合、死刑にまでなってしまうというものでした。有名なところでは、豊臣秀吉の朝鮮出兵の場合に、朝鮮水軍の指揮官として活躍した李舜臣さえ、戦争中なのに党争に巻き込まれ失脚し、一兵卒まで落とされてしまったというのがあります。李舜臣にとって幸いにも復権し、再び日本軍を苦しめる活躍をしましたが。

 韓国においては、歴代の大統領で、大統領退任後に刑事責任を追及されなかったのは、任期が短かった崔 圭夏(チェ・ギュハ)ぐらいではないでしょうか。他の人たちは、海外逃亡したり、死刑判決を受けたり、暗殺されたりと悲惨な晩年を過ごしています。やはり、李氏朝鮮時代からの闘争の歴史が今に生きており、政権が変われば、前職大統領であっても畳の上で死ねないというほど、派閥争いが激しいのですね。はたして、文在寅大統領も、゙国法務部長官も、次期政権下でも大手を振って街を歩けるのか、ある意味見ものです。それだからこそ、文大統領も自分の政権基盤を゙国に引き継がせ、安泰な引退を実現したいと考えているのかもしれません。今回の゙国問題のニュースに接するたびに、改めて、韓国は、未だに科挙・党争の国、ひいては朱子学の国であると再認識させられた次第です。
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