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最近の解決事例紹介(不動産編)− 連帯保証人からの債権回収 2016.4.1

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 販売会社である依頼者会社から、商品を継続的に供給している販売先会社が民事再生手続を申し立ててしまって、売掛金債権の回収が困難となったという相談を受けました。話を聞いてみると、その販売先会社は、さしたる資産も残っていないとのことで、そうすると民事再生を申し立てても、途中で破産に切り替わる可能性もあり、配当もほとんど期待できないことが予想できました。
 そこで、担保などを徴求していないかを確認しましたところ、販売先会社の取締役が連帯保証人となっているとのことでしたので、まずは、連帯保証人の自宅について登記情報(登記簿謄本は法務局に行って入手できますが、登記簿謄本の内容をネットでも入手することができます。)を取ってみました。すると、驚くことに、販売先会社が民事再生手続を申し立てる2日前に、連帯保証人の自宅(土地・建物)が、連帯保証人の妻と思しき女性の名義に移っているではありませんか。それも、贈与という無償譲渡で。会社の倒産前には、連帯保証人になっている代表者らが、その保有資産を隠匿したり、その親族に名義を変えたりなどしたりするいわゆる詐害行為がちょくちょく見受けられます。しかしながら、本件の場合、倒産の2日前に、一番近い親族である配偶者への譲渡、それも対価性のない無償譲渡であり、あまりに酷いということで、依頼者会社に相談し、民法424条に定める詐害行為取消権を行使して、当該自宅をいったん連帯保証人のところに取り戻し、差押えをして競売により売掛金債権を回収するという方針を立てました。

 詐害行為取消権は、裁判上の請求で行う必要がありましたので、早速、訴訟を提起しました。当初争点となっていたのは、当該連帯保証人が無資力であるか、また、詐害の意思があるかという点で、被告(連帯保証人)側からは相当強硬な反論があり、裁判所としては和解の方向でと進められていたのですが、審理が若干膠着気味となりました。そこで、局面を打開するために、当方が打った手は、連帯保証人の銀行預金について仮差押えをし、また妻に対しては、譲り受けた自宅について処分禁止の仮処分をかけたのです。
 仮差押え・仮処分の効果があったのか、先方から和解額の引き上げの申出が出てきまして、当方が固定資産評価額から考えていた和解額までには至りませんでしたが、何とか和解が成立しました。先方も、和解額については、当該自宅の“実際の“価値をよく市場で調べたようで、和解額は市場価格の約8割ということで、競売にまで進んだらこのあたりの価格だろうということを値踏みしていたのではないかと推測されます。本件は地方の物件であり、やはり東京と違い、固定資産評価額が、必ずしも市場価格を表すものではないということを勉強させられた次第です。
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