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最近の解決事例紹介(企業法務編)− 銀行との債務弁済和解 2015.11.1

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 以前の当事務所依頼者から、銀行との訴訟で困っている人がいるので相談に乗ってほしいという連絡がありました。早速、相談者と面談すると、バブル時に銀行から個人の不動産事業に係る多額の借り入れをして、律儀に弁済を継続してきましたが、個人での弁済継続には困難を感じましたので、ある時点で弁護士に相談したら、そのような借り入れは、銀行の貸し手責任を追及して“なかった”ことにするのがいいと言われ、裁判所に債務不存在確認訴訟を提起しました。しかし、裁判を続けてきましたが、どうも弁護士の言っていた通りに裁判が進行しておらず、このままでは敗訴して、相談者が保有する全ての不動産(すでに都内高級住宅街にある自宅は銀行に仮差押されてしまっています。)が、実際、競売にかけられてしまうこともありそうなので何とかしたいというものでした。担保不動産は、都内有数の繁華街にある商業ビル2棟であり、相談者が経営所有するの会社の旗艦ビルと、一棟貸ししているビルということでした。

 話を聞いてみると、幾らバブル期の貸し手責任がある借入れだといっても、実際の現金の融資を受けている以上、一切合財チャラというのは無理筋な訴訟進行だと思いました。相談者としても、元本をチャラにせよというのではなく、個人で借りている借入れを経営保有している会社の方に債務引受してもらい、会社の利益で弁済ができるスキームを銀行側が受けてくれるのであれば和解することはやぶさかではないということでした。ところが、訴訟を担当している代理人弁護士は、そんな個人で借りている融資を会社に切り替えるということは銀行側も飲まないので、そのような和解の話はできないということでした。よくよく話を分析してみると、どうも担当弁護士も銀行側もいわゆる免責的債務引受、すなわち相談者個人が借り入れていた債務を全て相談者の債務から切り離して会社のみの債務とするというスキームに拘泥していたものと思われました。そこで、債務引受には、免責的債務引受もありますが、銀行側としては会社の財務状況が不明な限りでは受けないでしょうから、現在の相談者個人の借入れに加えて、会社も重ねて債務者となるという重畳的債務引受というものがあり、そのスキームであれば銀行側も受け入れるはずだとの説明をしました。

 相談者において、私の説明をよく検討してもらったところ、免責的ではなく重畳的債務引受でいいので和解をしたい、ついては、現在の代理人は和解の話はしない、と話を聞いてくれないので、代理人を切り替えたく、当事務所で受けてほしいという要請がありました。訴訟の途中で代理人を引き受けるというのは、前代理人との関係はともかく、今までの訴訟の経過を全て引き受けた上での訴訟追行になるので(例えで言うと、野球で2ストライクノーボールの状態で代打に立つというような感じです。)、あまり好ましいものではないのですが、確かにこのままでは裁判所としても審理終結して判決というようなところまで来ていましたので受任することにしました。早速裁判所に受任届を出して(前代理人については、既に辞任届を出してもらっていました。)、次回期日から裁判に出廷することとなりました。

 裁判に出廷して、早速、重畳的債務引受のスキームで和解はできないのかと提案したところ、銀行側にも、裁判所にも、それならば問題ないのになぜ今まで提案してこなかったのかという受け止められ方をされたものの、その方向性で和解成立に向けて進行することとなりましたが、銀行・裁判所とも会社の財務状況次第だが基本的にOKということになり、会社の財務状況審査を実質的にしてもらったうえで、最終的に(この間も色々とありましたけれども、話が長くなりますので割愛させて頂きますが)訴訟上の和解が成立しました。当事務所が相談を受けてから約半年での和解成立ということで、相談者にも評価して頂き無事解決となった次第です。
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