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検察庁法改正問題 |
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[検察庁法改正問題]2020.7.1
造船疑獄(ぞうせんぎごく)とは、第二次世界大戦後の日本における計画造船における利子軽減のための「外航船建造利子補給法」制定請願をめぐる贈収賄事件。1954年1月に強制捜査が開始された。政界・財界・官僚の被疑者多数が逮捕され、当時の吉田茂内閣が倒れる発端となった事件の一つ。東京地検特捜部による海運、造船業界幹部の逮捕から始まった捜査は政界・官僚におよび、捜査主任検事の河井信太郎による大野伴睦の取り調べからはじまり有田二郎ら国会議員4名の逮捕などを経てさらに発展する気配をみせた。1954年4月20日、検察庁は当時与党自由党幹事長であった佐藤栄作を第三者収賄罪容疑により逮捕する方針を決定した。しかし、翌4月21日、犬養健法務大臣は重要法案(防衛庁設置法と自衛隊法)の審議中を理由に検察庁法第14条による指揮権を発動し、佐藤藤佐検事総長に逮捕中止と任意捜査を指示し、直後に大臣を辞任した(Wikipedia「造船疑獄」から引用)。
当時自由党幹事長であった佐藤栄作は、この犬養健法務大臣による指揮権発動により、間一髪逮捕を免れ、政治的汚点を浴びることなく、のちに内閣総理大臣に就任することとなるわけです。佐藤栄作は、犬養健に対し、相当圧力をかけて指揮権発動を促していたようで、よほど、佐藤栄作としては後ろめたい(ほとんどクロ)ところがあったと推察されます。ご存じのとおり、佐藤栄作は、岸信介の実弟であり、安倍晋三にとっては大叔父になります。犬養健は、戦前憲政の神様である5・15事件で暗殺された犬養健首相の三男です。非常に皮相的な見方をすると、立憲民主主義者の息子が、国家主義者の弟に、民主主義を踏みにじられたといえるかと思います。何よりも、本来は『起訴する権限を独占している検察官を、選挙による民主主義を基盤とする内閣の一員である法務大臣がチェックする仕組み』として制度化された法務大臣の検事総長に対する指揮権が、収賄疑獄の渦中にある政治家の政治生命を救う目的のために利用されたということが、本来準司法権として公正独立を保持すべきである検察というものが政治権力に蹂躙されたということが問題なのです。 今回、安倍晋三内閣が今国会での成立を断念した検察庁法改正については、まさに造船疑獄における指揮権発動に源泉を求める問題なのです。今回、安倍内閣が提出した検察庁法改正案には、「検事総長や次長検事、検事長は内閣が、検事正は法相が、「公務の著しい支障が生じる」として、必要と判断すれば最長3年とどまれる。」という条項があります。一見、有能な検察幹部には、定年を延長してもらって活躍してもらうという政府の説明がなるほどと聞こえるところが危険な条項なのです。すなわち、時の政府にとって都合のいい検察官(すなわち、政権に関係する国会議員などが公職選挙法違反をしても起訴しないことを忖度してくれるとか)がいたとすると、時の政権にたてつくような検察官は早々と定年で辞めさせてしまい、都合のいい検察官を高検の検事長や、最高検の検事総長に引き上げ、かつ定年を延長させて、時の政府のために働かすことが可能となるからです。 この法案は非常にいやらしい内容を持つものです。なぜなら、検察官も人の子、出世はしたいでしょう。東京高検の検事長よりも検事総長になりたいでしょう。それならば、政権のいうことを聞くかという志向になりましょう。そういった検察官の出世欲を生に刺激してくるような内容となっている意味でいやらしいのです。もっといやらしいのは、時の政権にとって都合のいい検事総長や検事長を飼いならすことができれば、リスクの高い検事総長に対する指揮権発動をやらなくても、都合のいい検事総長や検事長が“忖度”してくれることになるからです。造船疑獄における指揮権発動は、犬養法務大臣の辞任という“犠牲”を生じさせ、最終的には吉田内閣の当確というところまで行った劇薬でした。そんなリスクを時の政権は取らなくても済むようになるという意味で非常にいやらしい法案なのです。さすがに国民も、この法案の危険さ、いやらしさを感じ取って、芸能人や元検察幹部からも大きな反対の声が出て、安倍内閣としては今国会での成立をあきらめましたが、いつまたぞろ法案提出してくるかもわかりませんから、全く油断がなりません。 今回の検察庁法改正は大きな意味で、政治権力の検察権力への挑戦というものですが、具体的な意味で言うと黒川東京高検検事長の検事総長就任問題とかかわるものです。黒川検事長は、本来今年の2月で定年を迎えるところでしたが、安倍内閣が国家公務員法における定年延長条項を強引に従来の解釈変更して検察官にも適用するという荒業を仕掛け、今年8月まで任期を延長されました。それは、今年7月に現職の稲田検事総長が任期2年を迎えるので勇退するであろうから、その後釜に黒川検事長を持ってこようというのが安倍官邸の狙いです。もし、黒川検事総長が実現すると、検察庁法の改正を改めて行ったとすると、改正検察庁法の施行は2022年4月ですから、黒川検事総長の任期が到来した時点できっともう一度国家公務員法を使って6か月延長したうえで、改正検察庁法を使って3年間任期を延長させるでしょうから、最長、黒川検事総長は2025年まで務めることができてしまうのです。 黒川検事長の検事総長就任をストップさせるにはどうしたらいいのでしょうか。一つは、現職の稲田検事総長が勇退をせずに、任期満了まで職務を全うするというものです。そうすると、黒川検事長は8月で延長した任期も満了となりますので、ジエンドということになります。もちろん、再延長という手もありますが、ここまで禁じ手を使ってくると国民の反発は相当なものになるでしょうし、安倍政権事態が揺るぎかねないことになりましょう。一番穏当なのは、黒川検事長が潔く辞表を書くことでしょう。地位に執着していないというのであれば、男らしくさっそうと検察庁を去ってはいかがでしょう。 (追記) と上述したところで、事態が大きく変わり、黒川氏の賭けマージャン問題が発覚し、同氏は検察庁を退職するということになりました。後任の東京高検検事長には、ライバルと目されていた林名古屋高検検事長が就任しましたので、稲田検事総長の目論見では、7月末に“勇退”し、同時に林氏を後任の検事総長に就任させようとするのではないかと思います。さすがに官邸サイドもこの人事に文句をつけることは難しいでしょう。 |
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