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日本学術会議の任命拒否問題 |
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[日本学術会議の任命拒否問題]2020.11.1
東京メトロ乃木坂駅の青山墓地方面出口を出た横に、日本学術会議のビルがあることは薄々認識していました。が、昼間見ても、夜見ても、人の出入りがなく、いったい何をする組織なんだろうとずっと思っていました。日本学術会議に世間の耳目が集まるようになったのは、本年10月1日、日本学術会議が推薦した新会員候補105人の内、6人を菅義偉首相が理由を明かさず任命拒否したという事件が起こってからです。そもそもどんな組織かというと、「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。職務は、以下の2つです。
・科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。 ・科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。」(HPから)とあります。 「特別の機関」というのは、国の行政機関(府省およびその外局)が、特に必要がある場合に設置する機関で、審議会や施設等機関以外のもの。警察庁(国家公安員会)、政治資金適正化委員会(総務省)、検察庁(法務省)、日本学士院(文部科学省)、日本芸術院(文化庁)、陸海空自衛隊(防衛省)などがこれに当たる。ウイキペディアの説明によると、「専門色が強く相当の規模を要する行政分野で「省」に格上げするほどでないものは「庁」として設置されるが、外局である「庁」とするまでに至らない「準外局」的な組織を設置したいときにこの「特別の機関」とすることが多い。このほか、委員会、審議会など合議制機関のうち特に重要なものを高い格付けにするために特別の機関とする例もある。」とその趣旨を説明しています。類似の概念で「独立行政委員会」というのがあり、例えば、会計検査院、公正取引委員会などがありますが、これらの組織の趣旨は、監督官庁から独立した形で行政権を行使することが政治的中立性を確保するために必要だといわれています。とすると、「特別の機関」は端的には政治的中立性を確保するためではないにしても、例えば検察庁など時の政治権力による介入を排除するということが必要であれば、「特別の機関」においても監督官庁からの独立性が担保されているべきともいえると思います(ただし、戦前の軍部の独走を再現させないために、陸海空自衛隊のように、シビリアン・コントロールが厳しく働いている組織もありますが。)。日本学士院(文部科学省)、日本芸術院(文化庁)なども、監督官庁がストレートにそれらの組織運営に介入しているとはいいがたいと思います。 そうだとすれば、(正直、日本学術会議と日本学士院との違いがよくわからないものの)科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること、および?科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させることという目的達成のためには、人事権を含め、監督官庁(内閣府になるようですが)からある程度独立していることは必要ではないかと考えられます。それを法的な根拠で言うのであれば、やはり憲法23条の「学問の自由」に裏付けられるのではないかと思います。民主主義社会において、自由に学問をし、その研究発表が自由になされることが、民主主義社会を支える根幹と言えるのです。時の政府が気に入らない学者を恣意的に排除するということは、まさに学問の自由への侵害と言わざるを得ません。 今回の任命拒否については、政府からはどのような基準で選考したのかを明らかにしていません。穿った見方をすれば、安倍政権時代に政権批判をした学者について狙い撃ちをしたというところであり、安倍政権の体制をとりあえずそのまま引き継いだ菅首相としては、安倍政権時代にすでに決定されていた6人の任命拒否を何も考えず、そのまま発表してしまったというのが本当のところではないでしょうか。現に、菅首相は、候補者リストを見ていないと責任逃れをしているのが、その証左であるといえましょう。菅首相も早く国家主義者の安倍晋三の呪縛から離れて、自らの信念で政治のかじ取りをしていただきたいと思う次第です。 |
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