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[GE、東芝の会社分割]2022.1.1
ゼネラル・エレクトリック(GE)といえば、トーマス・エジソンが創立した会社ですが、何といっても、1981年から約20年にわたって会長を務めたジャック・ウェルチ氏が、「選択と集中」を掲げ、事業の多角化と大規模なリストラを断行し、GEを巨大なコングロマリット(事業連合)にまでに成長させました。また、GEの企業価値を高め、株価を約30倍に引き上げ、世界の経営者の手本とされました。
しかし、ウェルチ氏の退任後、同社は、航空機エンジン事業部門の不調、金融事業部門からの撤退、プラスチック事業部門の売却と現在に至るまでコングロマリットの解体が加速していました。それでも、GEとしての再建が見通せず、株価も低迷が続いてきました。 この度、GEは2023年に、医療機器部門をGE本体から分社化して、24年には火力発電事業と再生可能エネルギー事業、デジタル部門を合わせて電力事業会社として統合した上で会社分割することを発表しました。そうしますと、様々な部門を売却、撤退してきたGEとしては、本体に航空機エンジン事業を残すだけとなってしまい、名実ともにコングロマリットではなくなります。「GE」の名称はさすがに、存続会社が引き継ぐものと思われますが。 GE会社分割のニュースと前後して、東芝も2021年11月に、同社の社会インフラや半導体などの事業を3つの会社に再編し、会社を分割する方針を発表しました。具体的には、同社の事業内容を発電・送変電、公共インフラ、ビル省エネソリューション、ITソリューションなどを事業とする「インフラサービスカンパニー」と、ハードディスク駆動装置(HDD)、半導体製造装置を事業とする「デバイスカンパニー」に事業を振り分けた上で分社化、会社分割し、既に分社化した半導体メモリー事業を担うキオクシアホールディングスの株式などを管理する存続会社を、3社それぞれを2024年3月期をめどに上場させるというものです。「東芝」という名前は、存続会社が引き継ぐということですが、これで多数の事業を展開してきた東芝コングロマリットは解体ということになります。 では何故GE,東芝は、コングロマリットを解体するという決断をしたのでしょうか。本来、一つの会社が多くの事業部門を持っていれば、それだけ売上高も多く、収入も多いはずですから、資金調達や、仕入れにおいても規模のメリットを享受できるはずです。また、部門ごとに黒字赤字があっても全体で収支が取れるというメリットもあるはずです。すなわち、事業連合をしていることによるコングロマリット・プレミアムが生じ、企業価値、株価も増大するはずです。 他方、大前研一氏が以前試算したところによると、日立製作所という会社は多数の事業部門、関連会社を持っていますが、それを全てバラバラにして個々の事業、会社ごとに企業価値を算出したところ、何とその企業価値の合計は、日立製作所の現在価値をはるかに上回るものとされました。すなわち、日立製作所においては、コングロマリット・プレミアムどころか、コングロマリット・ディスカウントが生じているというのです。多分、GEにしても、東芝にしても、事業部門それぞれの事業価値を算出してそれを合計したものは、現在の両者それぞれの企業価値(わかりやすいのは株式市場における株価による現在市場価値)を上回ると試算されたので、今回の会社分割という判断になったのでしょう。 ではなぜコングロマリット・ディスカウントが生じるのでしょうか。やはり、事業間のシナジー効果が見いだせないほど毛色の違う事業を沢山揃えていては、逆にこの会社として何がしたいのかが投資家にとって見いだせないからではないでしょうか。GEでも航空機事業と医療機器部門とでは、どう捻ってもシナジーはなさそうです。東芝でもインフラサービスとデバイスでは、なかなかシナジーを見出す接点を見出せません。投資家としては、それでは単体で上場してもらった方がずっと評価しやすいということなのではないかと思います。GEの株主とすれば、今回の会社分割プランにより、分社化した株価の合計が現在の株価を上回り、せめて含み損を消して頂くまでに各社成長してもらうことを願うばかりではないでしょうか。 なお、ジャック・ウェルチ氏は、2020年3月、腎不全のため84歳で死去しました。今回の自分が築き上げたコングロマリットGE帝国の解体のニュースを天国でどのような思いで聞いたのでしょうか。「会社は、世の中の動きにより変化していくのだ」と説いていた人だけに、興味があります。 |
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