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ロシアのウクライナ侵攻はあるのか? |
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[ロシアのウクライナ侵攻はあるのか?]2022.3.1
古い話になりますが、1956年10月、社会主義体制下のハンガリーで、言論の自由などを求めた学生や労働者による民主化運動が起きました。しかし、ソ連軍がハンガリーにすぐさま侵攻し、ソ連軍戦車が民主化運動を文字通り押しつぶし、多くの民主化運動家が犠牲となった事件がありました。ハンガリー動乱と言われる事件です。また、チェコスロバキアで1966年の春から夏にかけて、ドプチェク党第一書記の下に一連の自由化政策がとられたのですが、同年8月に、ソ連軍らの軍事介入により自由化政策は弾圧されてしまいました。いわゆる「プラハの春」と言われる事件です。この二つの事件から言えるのは、その当時はソビエト連邦でしたので、ハンガリーとチェコスロバキアが民主化してしまい、東欧共産圏から離脱してしまいますと、西側諸国とソビエト連邦が直接国境を接するということになりかねないということで共通していました。ソビエト連邦は、今はそのDNAをロシア共和国が引き継いでいるのですが、どうも仮想敵国と直接国境を接するのが苦手のようで、ソ連邦崩壊前は、バルト海諸国、東ドイツ、ハンガリー、チェコスロバキア、ルーマニアなど衛星国でソ連邦と西側諸国との緩衝地帯を形成していました。だからこそ、衛星国がソ連圏から独立しようとすると直ちに軍を派遣して徹底的にその動きをつぶしていたと言えるでしょう。
このコラムを執筆している2022年2月22日現在、ロシア・プーチン大統領は、隣国のウクライナに軍事侵攻をするぞとの強硬な姿勢を見せています。ロシア軍は、何時でも国境を越えられるように、国境付近に10万人にのぼる兵力を駐留させているとの報もあります。どうやら、プーチン大統領は、ウクライナがEUへの加盟、および西側諸国の軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)への加盟を模索していることに強い警戒感を持っていることにより、ウクライナに対する圧力をかけているということが根底にあるようです。もしウクライナがEUに加盟したり、NATOに加盟したりするということになりますと、ロシアが直接西側諸国と国境を接することになるわけです。プーチン大統領としては、特にNATO軍がロシア国境まで兵を派遣し、ロシア軍と国境をまたいで対峙することに強い緊張感を感じるのでしょう。ましてや、NATO軍が核兵器搭載の中距離ミサイルをウクライナに配備するということになったら、ロシアとしては自国ののど元にナイフを突きつけられるという感じになるのかもしれません。自由主義諸国と直接国境を接することに危機感を感じるのは、今までのハンガリー動乱やプラハの春におけるロシア(当時はソ連)の対応を見ていると、プーチン大統領個人の性格というよりは、ロシア民族全体に通じる性格なのかもしれません。そうだとするとロシア軍の司令官・参謀たちも同じような考え方をしているでしょうから、たとえプーチンが日和って侵攻を撤回してもロシア軍内部での偶発的なウクライナ軍との戦闘が始まることがないとは言えないと思います。昨日の報道によりますと、ロシアはウクライナ東部二州の独立を支援するということですが、まさに東部二州を親ロシア国としてしまい、ロシアとウクライナとの間の緩衝地帯を作るという政策なのかもしれません。 では、西側自由主義諸国としては、どのように対応していく必要があるのでしょうか。西側と言っても欧州から遠く離れているアメリカと、ロシアと陸続きであるヨーロッパ諸国とでは、ロシアに対する対応に温度差があるように思えます。特に、ドイツは「ノルド・ストリーム2」というパイプライン計画があり、現状ですらドイツの輸入する天然ガスの55%をロシアから輸入しているドイツが、さらにこのパイプラインによりロシアから海底を通じて直接に天然ガスを輸入することを計画しています。もし、ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合、アメリカは、当然のごとく、ロシアに対して経済制裁を課してくるでしょうし、西側欧州諸国にもロシアに対する経済制裁の足並みを揃えるように求めてくると思いますが、かようにロシアの天然ガスに依存するドイツとしては、アメリカの経済制裁に乗ってしまえば、ロシアに天然ガスのパイプラインの栓を締められてしまうでしょうから、簡単にアメリカに同調するわけにもいかないわけです。他の欧州諸国もエネルギーをロシアに多かれ少なかれ依存していることからロシアに対する経済制裁には腰が引けるのではないかと思います。そうしますと、欧州諸国を頼れないアメリカとしてはどのような対応を取ればいいのでしょうか。やはり、ロシアが嫌がるのはウクライナがNATOに加入することですから、ウクライナからNATOへの加入申請があったとしても当面保留して棚上げすることになるのではないかと思います。一方、ウクライナのEU加盟については、ロシアとしても抵抗感は少ないでしょうから、ウクライナのEU加盟審査は進めてもいいのかもしれません。その辺りで、ロシアとアメリカとで“手打ち”をして、ロシアのウクライナ東部二州からの撤退という幕引きを図るのが、プーチン大統領のメンツも保てて現実的ではないかと思う次第です。 |
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