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[悪い円安]2022.7.1

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 対ドルに対する円安が止まりません。5月に入って130円を突破してからは、130円台が定着しているように思えます。これは、ロシア・ウクライナ戦争の影響があるという意見もありますが、しかしちょっと前までは“緊急時の円”と言われて、ドル売り円買いというのがパターンであったはずで、今回はそれが逆転していることとなります。
 一番の要因は、日米の金利差ではないでしょうか。5月中旬現在において、日本の10年物国債の利率はわずか0.25%に過ぎないのに対し、米国10年物国債は3%まで上昇しています。アメリカにおいては、コロナ後の景気回復により、物資供給がひっ迫し、物流費はそれに伴い上昇、賃金も上昇ということで急激なインフレ局面を迎えていると言えます。この急激なインフレ状況を封じ込めるために、FОМCは政策金利を上げたために日米の金利差が拡大したというものです。2021年の米国10年物国債はせいぜい1.5%でしたから一気に今年になり2倍にまで利率が上昇したということになります。そこで、為替市場においては、金利の安い通貨である円を売り、金利の高い通貨であるドルを買うという行動となり、どんどん円安が進んでいっているということになります。ちょっと昔であれば、円安になると輸出産業が好調となり“良い円安”と言われていたのですが、輸出産業をけん引していた自動車産業も米国内などでの現地生産が増えたため、昔ほど輸出量が多いわけではありませんので、円安のメリットを感じる人たちは昔ほど多くありません。逆に日本国内で生産していた商品を中国などに生産移行し、それを日本国内に輸入するというケースが増えたため、円安はストレートに輸入商品の価格に響いてきます。

 それでは、日本も金利を上げれば円安も解消されると思われるのですが、日銀は、永久指値オペなる施策を始めています。何でも、長期金利0.25%で毎営業日に指値をするというものなのですが、これは全くの愚策であり、海外トレーダーは裁定取引を駆使して、鞘を取りにかかりますから、さらに円安が加速するというものです。そこまでして、日銀が金利を安く固定したい理由は何なのでしょうか?もちろん、市中金利が上がることにより、今まで低金利に慣れてきた中小企業が利払いができなくなり、倒産が増えるという懸念があるのですが、何よりも国債を大量に発行している日本政府としては、新規発行の国債の金利が上がってしまうと利払いが爆発的に増加してしまい、最悪の場合、国家予算が破綻し、利払いができなくなるデフォルトを引き起こしかねないので、どうしても金利を上げられないのです。しかし、それではどんどん円安が進み、国内物価は上がっていくということとなります。早晩、日銀・日本政府は低金利政策を放棄せざるを得ず、米国金利に追随するレベルまで金利を上げていくこととなりましょう。

 そうしますと、既に述べた通り、国債の利払いができなくなります。どうしても、国債の発行高を減少することが必要ですが、現在の日本政府には国債を繰り上げ償還、すなわち前倒しで国債を償還する財源が全くと言ってありません。紙幣発行の輪転機を回すのは簡単ですが、それではハイパーインフレになってしまいます。
 ここで、皆さん、思い出してほしいのですが、日本の紙幣がそろそろ変わりますよね。1万円札は、日本資本主義の父ともいわれる渋沢栄一が紙幣の顔となるのですが、その新紙幣との切り替え、すなわち実行日は皆さんご存じでしょうか?実は、日本銀行は、2024年4−6月の間としか発表していません。これは準備ができないから、4−6月という不確定の期限としているのでしょうか?そんな訳はありません。もう新紙幣の準備開始をしていますので、2024年4月1日からと発表することは物理的にも可能なのに、それをしていません。何故でしょうか。それは、日本銀行・日本政府としては、2024年4月以降、ある週の金曜日の午後4時50分に「来週月曜から新円切り替えします」と発表したいからです(週末に発表することで、月曜の朝までに国民が何もできないようにするのです。事前に新円切り替え日を発表するとそれまでに預金を引き出すことを防止するためです。)。単に新円切り替えするだけではないのです。すなわち旧円1万円につき、新円8000円を引き渡すということで、20%ほど(パーセンテージは小生の予想です。もっと高い割引率かもしれません。)“財産税”を徴収するつもりなのです。そんなことが可能かということは、以前戦後のどさくさの時に新円切り替えし、財産税を取ったケースがありましたが、それはなんとポツダム勅令という憲法の埒外にある法令を根拠として行ったものであり、驚くのはそのポツダム勅令がまだ亡霊のように生きていることです。また、突然の新円切り替えが可能なのです。個々の日本国民の保有している貯蓄高が1000兆円を超えるものですから、その2割ほどでもピンハネすれば相当国債発行高、すなわち国の借金を減らすことができます。政府日銀は、低金利で何とか、2024年4−6月の新円切り替えまで持って行こうとしたのですが、“悪い円安”によりもう待ったなしの状況に追い込まれており、黒田総裁も指値オペという愚策しか打つ手なしの状況で、最近は茫然とした顔になっていると思うのは私だけでしょうか。
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