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ビッグモーターの行く末 |
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[ビッグモーターの行く末]2023.9.1
ビッグモーターの保険金不正請求問題から端を発した同社の反社会的活動は、街路樹への枯葉剤散布などこれでもかと次々と違法行為が湧いて出て来ました。兼重親子が社長、副社長を辞任しても問題解決には程遠く、今後も行政上の責任、刑事上の責任、民事上の責任追及が続くものと思われます。問題は、このような問題発覚で同社の売り上げは激減しており、銀行からも相当の借り入れをしていることから、今後会社が存続するかが焦点となると思われます。果たして、ビッグモーターは会社として存続できるのか、また兼重親子はどうなるのかを(刑事上の問題は今回は割愛させて頂きますが)推測してみました。
ビッグモーターは未上場の会社ですので、正確な財務状況がわからないのですが、どうやら同社はここ近年の店舗網拡大のために相当の資金を銀行から借り入れているようで、その総額は800−1000億円とも言われています。借入銀行は、メガ3行に加え広島銀行、山口銀行など地銀も含まれているようですが、圧倒的に貸付残が大きいいわゆるメインバンクはないとのことです。通常、中小企業が借り入れをする場合は、社長など経営者が連帯保証をすることが多いのですが、ビッグモーターほどの規模になると上場していなくても経営者の連帯保証は外す、徴求しない例が多いので、同社についても兼重親子は連帯保証を入れていない可能性が高いと思われます。 さて、今回の経営危機で同社の売り上げが激減し、すなわち中古車販売という日銭商売をやっているので、たちまち日銭が入らなくなり、一方、店舗の地代、賃料、従業員の給与など固定費用の支払は毎月しなくてはならないので、同社の手許現金はどんどん減っていくことが容易に想定されます。 同社がどのくらいのキャッシュフローで会社を回していたかも財務資料がないので何とも言えませんが、通常は6か月新規キャッシュインがなければ手許現金が枯渇してしまうでしょう。すなわち、その時点でデッドエンド、破産ということになります。同社は、8月中旬に銀行団とバンクミーティングを持って資金援助についての要請をしたものと思われ、具体的な内容は公表されていませんので推定するしかありませんが、多分どんどん減っていく手許現金をカバーするための新規融資を銀行団に願い出たものと推測されます。 しかしながら、これほどまでいろいろ不正を行ってきたことが明らかになった以上、銀行団としても簡単に新規融資に応じることはないと思われます。ましてや、メインバンクに広島銀行とか、山口銀行などがなっていれば、“わきの甘い”地方銀行ですからずるずると新規融資に応じるかもしれません。しかし、メインバンクという存在がなく、メガバンクと地銀が同じような融資比率でしたら、多分、メガバンクは新規融資には応じないと思います。応じないどころか、ドライなメガですから既存融資についても弁済を求めることをしているかもしれません。 銀行団が新規融資に応じるとしたら、兼重親子の個人資産を全て貸し付けの担保として提供させ、かつ両者にビッグモーターの借り入れの(少なくとも新規融資分の)連帯保証をさせることが条件となるのではないでしょうか。しかしながら、兼重親子にしてみれば、もはや、会社よりも従業員よりも何よりも自分たちがかわいいでしょうから、個人資産の提供や連帯保証は断るものと思います。兼重親子がその踏み絵を踏まなかったとしたら、銀行団、特にメガバンクは新規融資をしないことは当然、既存融資の回収に走るのではないでしょうか。そうなったら、ビッグモーターの破綻は眼前に見えてくることとなります。会社としては、破産もしくは民事再生の申立てを真剣に検討せざるを得ない状況に陥るかと思います。破産もしくは民事再生となるにしましても、現在の中古車販売事業は第三者に売却されることとなりましょう。事業としての譲渡ができないということになると、ビッグモーターの資産である事業所の不動産や車の在庫は個々にばら売りされることとなりましょう。また、破産もしくは民事再生のいずれかでも、兼重親子が持株会社を通じて保有するビッグモーターの株式はゼロ価値となりましょう。そうなると兼重親子は、目黒区の自宅、熱海・軽井沢の別荘、クルーザーなどは残るかもしれませんが、会社の株式をすべて失うこととなりましょう。ただ、会社法上は、取締役の第三者に対する責任を追及という手段がありますので、被害者たちが兼重親子に対し損賠賠償請求をして、折角の虎の子の不動産も取られてしまう可能性もなきにしもあらずということでしょうか。今後のビッグモーターの会社としての行く末に目が離せない状況です。 |
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