［柿澤親子の政治姿勢］2024.3.1

　柿澤弘治と言えば、外務大臣まで務めた政治家ですが、所属政党がころころと変わり、蝙蝠のような政治家であったという記憶があります。柿澤弘治は、東京大学経済学部経済学科を卒業し、大蔵省に入省しましたが、１９７７年の参議院議員通常選挙に“新自由クラブ”公認で東京都選挙区から立候補して、初当選しました。その後、１９８０年、参議院議員を任期途中で辞職して、衆議院議員総選挙に旧東京６区から“新自由クラブ”公認で立候補し当選しました。
　ここから柿澤弘治の政治遍歴が始まり、１９８１年、柿澤弘治は所属する新自由クラブと社会民主連合の統一会派結成に反対して、新自由クラブを離党しました。１９８３年に“自由民主党”に入党し、衆議院議員総選挙は“自民党”公認で当選しました。ところが、柿澤弘治は自民党を離党、政策集団「リベラルズ」を旗揚げし、リベラルズを母体に“自由党”を結成、党首に就任することとなります。柿澤弘治率いる自由党は羽田内閣に参加し、外務大臣に就任することとなります。ところがまた政局が動き、複数の党により結成された新進党には合流せず徳田虎雄率いる“自由連合”に入党することとなりましたが、またもや“自民党”に復党しました。その後いろいろな経緯があるのですが、衆議院議員を辞職して東京都知事選へ立候補をしたものの落選、その後、２０００年の衆議院議員総選挙に東京１５区から“無所属”で立候補し、当選、その後“無所属の会”に入党して次の衆議院議員総選挙では落選し、最終的に政界引退を表明したというもので、これを書いている方がごっちゃになるほどの政治遍歴です。柿澤弘治は、政治改革を標榜していたのですが、政治の世界の波に洗われてというか、さらわれてというか、一体、彼は何がしたかったのかわからないとしか言えない政治遍歴でした。

　柿澤未途は、東京大学法学部卒業後、１９９５年にＮＨＫに入局したのですが、１９９９年、父である柿澤弘治の東京都知事選挙への立候補を契機にＮＨＫを退職して、政治の世界に入ることとなりました。東京都議会議員選挙に江東区選挙区から出馬し、初当選した後に、“民主党”に入党しました。しかし、２００８年、酒気帯び運転による自損事故を起こし、せっかく当選した都議会議員を辞職するはめになり、結局、民主党を離党してしまいました。その後、“みんなの党”に入党し、衆議院議員総選挙にみんなの党公認で東京１５区から立候補し、比例東京ブロックで復活当選しました。すったもんだがあり、みんなの党も離党し、２０１３年、“結いの党”結成後合流、２０１４年、日本維新の会と結いの党が合流して“維新の党”が結党されました。２０１４年の衆議院議員総選挙でも当選し、２０１６年、民主党に維新の党などが合流して“民進党”が設立されたのですが、これを離党し、“希望の党”に参加、次の衆議院議員総選挙で比例で当選しました。ところが、希望の党と民進党による新党である国民民主党の結党には参加せず無所属となりました。ここからまたすったもんだがあり、第４９回の衆議院議員総選挙に当選した暁には自由民主党に入党したいとの意向を示したものですから大騒ぎとなり、長年柿沢と選挙で対峙してきた自民党東京都連はこの動きに反発したのですが、最終的に“自民党”の公認を得ることとなり、再選も果たします。いつの間にか自民党所属国会議員となっていました。

　ここからの柿澤未途の行動が全く分かりません。２０２３年４月に行われた江東区長選挙で、元衆議院議員の木村弥生の陣営に対し「YouTubeの有料広告は効果があるからやった方がいい」と公職選挙法違反の行為を勧めたのです。さらには、木村弥生のスタッフに対し総額９１万５００円の報酬を支払ったとのことで、これまた公職選挙法違反の行為です。木村弥生は当選したのですが、何を考えたのか、江東区長選と同日に行われた江東区議会議員選挙に立候補した保守系区議に「木村さんをよろしく」と依頼した後に現金を提供していたという事実が明らかになり、さらには知名度の低い木村弥生を当選させるため、柿沢未途自身が現金配布計画を立て、秘書に配らせていたことがその後の報道により明らかとされました。東京地検特捜部は、公職選挙法違反（買収）などの疑いで柿沢と政策秘書、公設第一秘書および私設秘書２名の計５名を逮捕したものです。最終的に２０２４年２月１日、柿澤未途は衆議院に議員辞職願を提出し議員辞職しました。東京大学法学部を卒業した者が、公職選挙法違反となることをある意味堂々と行ったことが全く理解できません。結局、柿澤親子は、政治の世界で何をしたかったのでしょうか。両者とも数限りない党を渡り歩き、それでも結局は政治の世界を追われるようになってしまったことが共通しており、因果は巡ると言ったところでしょうか。