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今秋の米国大統領選挙はどうなる?

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[今秋の米国大統領選挙はどうなる?]2024.8.1

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 この原稿を書いている前週にトランプ氏に対する狙撃未遂事件が起きました。弾丸が右耳たぶを貫通したものの、奇跡的に助かったというのはトランプ氏の“悪運”の強さを感じる事件でした。もちろんトランプ支持者たちは、神の加護と主張していますが。
 この狙撃事件で九死に一生を得たトランプ氏は、強いリーダーというイメージが加わり、ただでさえ支持率がリードしているバイデン大統領に対して、決定的に有利になったと言われ始め、さすがにこれでは選挙に勝てないということで、民主党内でもバイデン降ろしが始まり、今週になって、バイデン大統領自ら大統領選を辞退するというアナウンスをしました。さて、これから大統領選挙はどうなるのか、投票権もない無責任な一日本国民が、想像してみました。

 まず、民主党ですが、これで候補者がいなくなったので、新たに候補者を選定しなくてはならないのですが、以前リンドン・ジョンソン大統領が再選不出馬を決めたときは、まだ予備選挙期間中だったので、粛々と予備選挙を進めて民主党としての候補者(ハンフリー)を決めたわけですが、今回は既に予備選挙が終了しているわけで、今から予備選挙を行う時間的余裕はありません。そこで、バイデン大統領は、現在の副大統領であるカマラ・ハリス氏を大統領候補として推薦しているわけですが、民主党の党規則的には多分大統領の推薦とはいえ何の拘束力もないと思います。現在選出されている大統領候補者を決める選挙で投票できる代議員は、予備選挙・党員集会の結果に縛られる一般代議員(約3300票)と、予備選挙・党員集会の結果に縛られない特別代議員(約800票)がいるのですが、バイデン大統領が出馬しなくなった今、代議員たちは、誰に投票するかは自由投票となるはずで、幾ら推薦されたからと言ってカマラ・ハリスが大統領候補として決議されるかは決まったこととは言えないでしょう。民主党の党規則を詳しく知りませんが、多分、党大会前に大統領候補者として立候補を受け付けるシステムを持っているかと思いますので、我こそはという人たちが出てくるかもしれません。カマラ・ハリスではトランプに勝てないという声が高く、トランプに勝つためにはオバマ元大統領夫人を担ぎ出すべきだという声も聞きますが、いかんせん、ご本人が立候補しない限りには党大会では選出されないということになりましょう。

 次に共和党の方ですが、これは、今回の共和党大会でドナルド・トランプが大統領候補指名を受諾して、共和党の大統領候補者として確定したのですが、もしトランプ氏が11月の大統領選挙までにそれこそ何か起これば、多分共和党の党規則では、副大統領候補者のヴァンス上院議員が繰り上げで大統領候補者となるのでしょう。その場合、新たに副大統領候補者を決めなくてはなりませんが、これも想定するにトランプ氏の指名で決められるものと思われます。

 さて、世論的には「もしトラ」から「確トラ」までトランプ氏の勝率が上がっているようですのでそれを前提に話を進めますが、トランプ氏が再び大統領になった場合、大統領就任の年に80歳になり、バイデン大統領のことを“爺さん”扱いしている当のご本人も爺さんになるわけで、死亡リスク又は意思能力低下(ボケ)リスクがあるわけです。もし、大統領任期中に死亡した場合には、憲法と大統領継承法で、継承順位が法定されており、第1位に副大統領、第2位に下院議長、第3位に上院仮議長(上院議長は副大統領なので、副大統領がいない場合は仮議長となるのでしょう。)となります。となると、任期中にトランプ大統領が死亡した場合は、すんなりヴァンス副大統領が大統領に昇格するということになりますが、認知症などでぼけてしまった場合はどうなるでしょうか。その場合は、「“執務不能”に陥ったときという要件に該当してくるものと思われますが、その判断には、医学的な判断が最重要視されるでしょうが、政治的な判断、例えば議会の承認なども必要になるという規定が調べればあるのかもしれません。

 トランプ氏が再選され、無事4年間の任期を全うしたら84歳になり、バイデン氏の年齢を批判するよりも高齢になってしまうわけですが、それでもさらに大統領を務めたいと言い出した場合、再再選はできるのでしょうか。合衆国建国時、大統領の再選については、憲法上の規制はなかったのですが、“慣例”として任期は2期までという不文律がありました。しかし、第2次世界大戦という特殊な状況下において、フランクリン・ルーズベルトが3選を果たしてしまい、最終的に4期目の途中で死亡するということがあり、さすがにその後、3期以上の再選を禁ずる必要があるだろうということで、合衆国憲法修正22条が制定されました。同条では、1人の大統領が10年まで務め上げることが可能となっています(前任者の任期残りが2年以下の時に引き継いだ場合)が、実際にルーズベルト以外に8年間を超えて務めた大統領はいません。とすると、トランプ氏も再選された場合、2期目を務めるということで、2期目の任期満了で更なる再選は、修正22条により認められないということになるわけです。

 ということで、再びトランプ大統領となる可能性が高いのですが、私としては、地球温暖化防止に消極的なトランプ氏がまたちゃぶ台返しをすることがあるかと思うと暗澹たる気持ちになりますので、なかなか歓迎はできないという気持ちです。
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