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川崎重工業のクーデター劇について |
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[川崎重工業のクーデター劇について]2013.7.1
報道によりますと、「川崎重工業は、6月13日、臨時取締役会を開き、長谷川聡社長ら3役員を解任した。また、三井造船との経営統合交渉の打ち切りも決定した。3人を解任する緊急動議には、取締役会の議長を務める大橋忠晴会長をはじめ、残りの10人の取締役全員が同意した。後任の社長には村山滋常務が就任した。」とのことです。
5月22日の川崎重工業と三井造船との経営統合についての日経の記事にも驚きましたが、それをちゃぶ台をひっくり返す川崎重工業のクーデター劇にも驚きました。いったい何が川崎重工業の中で起きたかを調べてみますと、ガバナンス的には、大橋会長派と長谷川社長派の支配権争いで、10対3で社長派が負けたという、なんともはや事前の根回しが全然できていない長谷川社長のお粗末な段取りのようですね。取締役会の前日に、長谷川社長は大橋会長から呼ばれて、辞任しろと言われたようですが、拒否したとのことで、その時点で、社長としては自派が何人、反対派が何人と票読みできていたであろうに、やけくそで取締役会に臨んだのでしょうか。 川崎重工業にある特別な事情としては、同社は、7つの事業部門から成り立っているいわば、7つの会社の寄せ集めみたいな会社であり、またそれぞれの事業部門で抜きんでて強い部門がないことから、7つの事業部門がそれぞれ内部で独立しているというまるで「省あって、国家なし」の国の省庁のように、「事業部門あって、会社なし」の状況であったようです。ちなみに、長谷川社長は、ガスタービン・機械事業部門の出身、大橋会長は、車両事業部門の出身とのことです。 このような会社の場合、他の事業部門が何をやっているかは常日頃興味はないが、自分の事業部門の権益に関わる問題については、断固として自説を主張するということになりがちです。すなわち、他事業部門で何か不祥事なりが起きても、自分の部門に関係のないことは、「どうでもいいんじゃない。」ということになります。その例として、数年前、中国での新幹線事業について、川崎重工業は、車両技術を懇切丁寧に供与したところ、中国側で特許を取られてしまったというこれまたお粗末な話がありましたが、結局、車両事業のトップである大橋会長は責任を取っていないし、ましてや、他事業部門出身の長谷川社長も責任を取っていないという総無責任体制になっているのですね。 非常に小手先の論理で言えば、長谷川社長は、船舶海洋部門を“処理”したかったのであれば、何も川崎重工業全体を三井造船と合併なりでいきなりくっつけるような、いかにも他事業部門の逆鱗に触れるようなことをすることなく、IHIの造船部門と、JFE(もとは日本鋼管の造船部門)の造船部門をそれぞれカーブ・アウトして、JVの会社を設立したように、船舶海洋部門を切り出して、三井造船とJVの会社を設立することはできなかったのでしょうかね。たぶん、船舶海洋部門はいちばん発言力がなかったでしょうから、会長派も、(新幹線技術を中国にタダで献上するようなチョンボの責任も取っていないのですから。JR東海が損害賠償請求をしないのもよくわからない話ですが。)自分のところの権益に関わる話ではないからいいのではとあっさり賛成していた可能性もあるのではないでしょうか。そうであれば、長谷川社長もクビになることはなかったでしょうに。 本質論で言えば、川崎重工業のように、社長が強力なリーダーシップをとれない内部カンパニー制を採用している会社は、やはりそれぞれの事業部門が独立独歩で生き抜いていくために、事業部ごとに分社化することが、お互いの利益になり、経営責任も明確化されるのではないでしょうか。もちろん、GEのように、CEOのガバナンスが強力であれば、問題はないのでしょうが。また、その方が各事業部門にとっても、機動的な組織再編を実行できるかと思われます。船舶海洋部門のみならず、車両部門であれば、日本車両なり、東急車両なりとくっつくことも機動的にできるようになり、究極的には、それが企業価値の最大化に資するということになると思います。 |
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