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スコットランド独立問題から考えたこと |
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[スコットランド独立問題から考えたこと]2014.11.1
以前、合衆国テキサス州に住んでいた時、テキサス人からよく言われたのは、「テキサス州は、アメリカ合衆国と契約関係によって、州として参加したのであるから、いざとなれば合衆国から独立することができる。」ということでした。テキサス人は、自州を“ローンスターステイト”と称して、他の州とは違うよという変なプライドを持っていました。歴史的にみると確かに、アラモの砦の戦いなどを経てメキシコからの独立を果たした“テキサス共和国”は、アメリカ合衆国との間で1845年に「併合決議」を成立させて、その上で州として合衆国に併合されたものであるので、スペインから土地を割譲されたフロリダ州とか、フランスから割譲されたルイジアナ州とか、メキシコから割譲されたカリフォルニア州とかとは違うのですね。当時、テキサス・インスツルメントか、テキサス州は石油の生産量は豊富であり、またサンベルト・シリコンバレーと言われてIT産業も勃興していましたし、十分独立する経済的実力はありました。
では、実際にテキサス州が再独立できるかというと、「併合決議」自体には、くっつくときのことは決めていても別れるときのことは決めておらなかったようなので、明確な独立に向けての手続規定はないということになります。テキサス州が南北戦争の時に南部連合国として独立したことについての正当性について、後に裁判になったようで、合衆国連邦裁判所は、「1861年にテキサス州が合衆国を離脱したのは違法である」と判示しています。しかしながら、同判決は傍論で「米国憲法ではその全条文において一体不可分の州による一体不可分の合衆国を目指しているものであり、離脱できるとすれば革命もしくは他州の合意による」としているとのことです。 ということは、革命というのは超法規的なものですから論外として、他州の合意があれば、テキサス州は合衆国から離脱することが可能だと裁判所も認めているのですね。ただ、このことはこの判決からする限り、割譲により州となったカリフォルニア州であっても、同じ議論になってテキサス州だけの特権ではなさそうですが。 今回、住民投票によってグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(以下、「連合王国」)からの離脱を問うたスコットランドは、結果的に離脱に対してNOということになったわけですが、確かにスコットランドも、1707年の連合法により、イングランド王国とスコットランド王国が合併し、連合王国としてグレートブリテン王国を建国したものです。ですから、その意味では、“対等に”合併したのですから、離脱についても両者の合意があればできるというのが法理論だということで、実際、2012年に、連合王国とスコットランドとの間で、スコットランドの独立の是非を問う住民投票の実施に向けて両政府が協力することについての合意書が締結されたものであり、この合意(エジンバラ合意と言われています)に加え、両者間で、住民投票が「明確な法的根拠を持つ」ことについても合意されたものですから、ここに住民投票の結果がスコットランド独立についての法的根拠を有する正当性を持ったことになるのです。 そうなってくると、現在世界の各地で独立運動をしている地域がありますが、法理論的に言うと、独立したいという地域がどのような経緯で所属する国と一体になったかということが大きく影響してくるのかもしれません。例えば、連合王国においても、スコットランドや、北アイルランドは、その経緯から連合王国との間で“対等の”当事者関係が認められるでしょうが、そうするとウェルーズはどうなるのかということになります。16世紀にイングランドにより、ある意味征服されてしまったのであり、“契約”関係で連合王国の支配下にはいったのではないので、ウェルーズは独立できないのかということとも考えられましょう。 上述したように、合衆国ではテキサス州以外は、独立できないのかということになるのでしょうか。日本でも各県が独立するというのは、憲法上できないことになっていますが、各県が独立の国という主体になったことが無いからでしょうか。そうすると、かつては琉球国であって沖縄県はどうかということになりますが、日本国には薩摩藩による征服による併合ということで、独立する当事者人格があるのかとまたいろいろと問題が出てきます。あくまでも法的論理だけの話ですので、政治的論理とは別物であることは申し添えます。 |
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