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第一次世界大戦はなぜ起こったのか? |
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[第一次世界大戦はなぜ起こったのか?]2015.12.1
20年前にNHKが制作した「映像の世紀」というドキュメンタリーがありました。(個人的には、テーマ曲である加古隆作曲の「パリは燃えているか」が好きなのですが、)第二次世界大戦終結から50年後ということで、各国に保存されていた映像資料が公開されだしたこともあり、それまで歴史の教科書でしか、すなわち文字データ、せいぜい写真データでしか理解していなかった現代史が、百聞は一見にしかずで映像データでガンガンと語られるということで相当ショッキングだったことを覚えています。今年は、第二次世界大戦終結後70年目にあたるのですが、「映像の世紀」が制作されたときから、さらに今まで未公開とされていた映像資料が公開扱いとなり、そこで、NHKは新たに「新・映像の世紀」を制作することとし、本年10月25日に第1回を放映していました。第1回は第一次世界大戦から始まっています。やはり、映像というものが普及し始めたのはこのころなのですね。なかなか、新編第1回も迫力のあるものでした。
さて、第二次世界大戦というのは、簡単に言えばヒトラー率いるドイツ第三帝国が世界制覇の野望に燃えて、ポーランドに向けて帝国主義的侵略を開始したということがきっかけであることはまずもって異論がないところです。日独伊三国軍事同盟による枢軸国側対米英仏の連合国側との戦いとなり、ファシストという悪党たちを退治するという勧善懲悪の構図も非常にわかりやすく、軍国主義国家大日本帝国の敗戦で終了したと幕切れもしっかりしています。それに比べ、第一世界大戦がなぜ起きたのか、どうして大戦が終結したのかが今まで私なりには今一つすっきりしていませんでした。 第一次大戦のきっかけといわれるのは、1914年6月28日、オーストリア・ハンガリー二重帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の甥で皇位継承者であったフランツ・フェルディナント大公がサラエボにおいて妻と共に暗殺されたことと歴史の教科書には書いてあります。丁度101年前の出来事です。暗殺犯は、セルビア人の青年であり、オーストリアの言い分としては、実行犯は、セルビア政府が援助しているグループの一員だというのです。オーストリアとしては、セルビア政府も関与しているものと弾劾し、セルビア政府へ最後通牒を突きつけたのですが、全面受諾しないということで宣戦布告し、第一次世界大戦がはじまったというものです。 しかしながら、当時はそれなりの勢力があったとはいえ中欧の一国家であるオーストリアと、紛争の火薬庫バルカン半島に所在するとはいえ小国のセルビアとの間のいわば“地域紛争”に過ぎなかったはずです。それもきっかけが軍隊同士の衝突というのではなく、皇太子に対するという重大性はともかくテロ事件にすぎなかったのに、何故30か国が巻き込まれ4年にもわたる大規模な戦争にまでなってしまったのでしょうか。 当初は、オーストリアとセルビア間の戦争が、まずセルビアに心情的支援国であるロシアが、当初限定的にセルビアを応援するつもりでオーストリアに部分的動員令を下したのですが、軍内の都合から結局、総動員が下令され、全面戦争となってしまいました。そうしますと、オーストリア・イタリアと三国同盟を締結していたドイツは、ロシアの総動員下令を受けて、参謀総長小モルトケはかねてからのシュリーフェン・プランを発動させて総動員を下令し、ロシアに対して宣戦布告し、さらにはロシアと三国協商を締結していたフランスに対して宣戦布告することとなりました。さらには、ドミノ倒しのように、イギリスは、三国協商の関係で、ドイツに宣戦布告し、フランスへの海外派遣軍の派遣を決定しました。ドミノ倒しは続き、カナダも、宗主国イギリスに従い参戦し、同様にオーストラリアやニュージーランドも参戦することとなりました。我が国日本も、日英同盟により、イギリスからの要請を受け、連合国側として参戦し、ドイツに宣戦布告し、中国の独領青島を攻めるということになりました。その後、オスマン帝国も、アメリカも参戦するに至り、名実ともに世界大戦という状況になってしまいました。 安易に(?)参戦した各国は早期に終結すると思いきや、特にドイツ・フランスの西部戦線が塹壕戦で膠着してしまい、その間、ロシア革命は起きるは、ドイツでも革命が起き、結局ドイツが降伏して終結するということになります。大戦による戦闘員の戦死者は900万人、非戦闘員の死者は1,000万人、負傷者は2,200万人と推定されていますが、結果、各国は何が得られたのでしょうか。ベルサイユ条約で膨大な賠償義務を負わされたドイツは、ヒトラーが第三帝国による独裁政治により再び戦争を起こすということとなり、イギリス・フランスは、戦勝国であっても生産機器などの破壊により経済力が疲弊し、結果、アメリカの経済力の台頭を招いただけということになりました(漁夫の利的には、日本は得をした方でしょうけど)。 第一次世界大戦から学ぶとすれば、安易に同盟や安全保障契約で、友好国に“ちょっと”味方をするだけで参戦してしまうと、とんでもない泥沼に入り込んでしまう可能性があるということでしょう。特に、第一次大戦のイギリスが、その立場だったといえると思います。安倍首相は、安保法制を成立させて、今後、同盟国アメリカの要請で、“ちょっとだけ”派兵するということを考えているかもしれませんが、単に派遣した自衛隊員が“戦死”してもいいのかという議論を超え、他国間の戦争に泥沼的に介入することになり、国民生活に莫大な犠牲を強いるということにもなりかねません。歴史は繰り返すといいますが、歴史を勉強しない人ほどその傾向が強いでしょうから、安倍首相も、第一世界大戦の復習をしてもらった方がいいかと思います。 |
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