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マンション標準管理規約の改定 |
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[マンション標準管理規約の改定]2016.4.1
国土交通省が、平成28年3月14日、「マンション標準管理規約」を、約5年ぶりに改定しました(*1)。マンションという多数の区分所有者が存在する区分所有建物については、区分所有法という民法の特別法が適用されます。しかしながら、マンションはその存在する場所、区分所有者たちの属性、構造などから多種多様であり、とても一つの区分所有法という法律のみでもって全てのマンションを規律するわけにはいきません。
そこで、区分所有法は、個々のマンションのそれぞれの実態に合わせて、区分所有者らが管理組合を通じてマンション自治を可能にするため、そのマンションの基本法というべき管理規約を制定することを許容しています。とはいっても、区分所有者らが全て区分所有法に詳しいわけでもありません。そこで、国土交通省が、区分所有法をベースに、多くのマンションに共通するであろう事項についてはスタンダードを提示した「マンション標準管理規約」というものを制定し、マンション管理組合における管理規約の制定についてサポートをしているのです。もちろん、ガイドラインにすぎないのですが、事実上のスタンダードとなっており、多くのマンションにおいては、マンション標準管理規約を採用しています。 今回のマンション管理規約改正のポイントとしては、@(区分所有者のマンション管理についての)選択肢を広げるもの、A適正な管理のための規定の明確化、B社会情勢を踏まえた改正といわれていますが、私は、特に@選択肢を広げるものが重要だと考えています。そのうちの一つとして、議決権割合の決め方があり、これも昨今の最上下階で販売価格が倍以上も違うタワーマンションなどにおいては重要な改正のポイントとなりますが、最も重要な改正は、外部の専門家の活用条項だと思います。 今回の改正までのマンション標準管理規約においては、理事など役員になれるのは、当該マンションの区分所有者に限定されていました。区分所有法では、そのような制限はないので、今までもマンション標準管理規約のその条項さえ変更すれば、第三者を理事、監事などに登用することは可能でしたが、マンション標準管理規約が事実上のスタンダードとなっている現状においては、あえて第三者を理事等に登用することはなかなかありませんでした。 しかしながら、マンションは、昭和40年代に登場して以来、半世紀を経過し、実にその置かれた立場が変容してきました。マンションを自らの居住用ではなく投資用として賃貸に回すという賃貸化、マンションの建物の老朽化と並行して区分所有者の老齢化が進み、本来のマンションの最高自治機関としての理事会が成り手不足となり、機能不全が散見されるようになりました。また、その機能不全が進行すると生じる病理現象として、理事長らの独裁化、修繕積立金の横領などの不正行為、管理会社へのコントロール不全などが生じているマンションも少なくない状況です。 そこで、国土交通省としては、このような事態に対処するために、今回のマンション標準管理規約改正において、区分所有者の選択肢の多様化として、外部の専門家、例えば弁護士、マンション管理士、建築士などの専門職を、たとえ区分所有者でなくとも理事等に就任できることを可能にしたのです。外部の専門家であれば、マンション管理の具体的業務に通暁し、また公平公正な第三者として適正なマンション管理も期待でき、管理組合、ひいては区分所有者にとってプラスになるものと考えられるのです。 私の所属する東京弁護士会においても、マンション管理適正化プロジェクトチームを立ち上げ、外部の専門家を理事等に登用するいわゆる「第三者管理」についての研究を進め、弁護士会として、マンション管理に通暁する弁護士を第三者管理者として推薦・派遣することを検討しています。マンション管理は第三者管理にという流れができれば、日本のマンション管理が大きく変わってくるかもしれません。今回の改正は、意外とマンション管理の大きなターニング・ポイントとなる可能性があるという感じがします。 (*1)http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000133.html |
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