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将棋ソフト不正使用疑惑事件 |
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[将棋ソフト不正使用疑惑事件]2017.3.1
平成28年7月、日本将棋連盟に所属するプロ棋士である三浦弘行九段が、同九段と対戦した久保利明九段および渡辺明竜王から、「将棋ソフトを使って対局した不正の疑いがある」という指摘を受けたことがきっかけとなり、将棋ソフト不正使用疑惑事件が幕を開けました。九段といえば、将棋連盟においてもトップクラスの棋士であり、竜王とは、現在では「名人」よりも上位に評価されるタイトルであり、それらトップクラスの棋士がトップクラスの棋士の行動を批判したということで、まさに大事件となった次第です。
10月になり、不正使用疑惑が週刊誌に掲載される直前に、谷川浩司会長(九段、永世名人)を含む将棋連盟幹部は対応を協議して、その結果、三浦九段は、渡辺明竜王がタイトルを保持する竜王戦七番勝負の挑戦者に決まっていたのですが、三浦九段を出場停止とし、挑戦者を丸山忠久九段に交代するという処分を下したのでした。 その上で、将棋連盟は、弁護士らをメンバーとする第三者委員会に、本将棋ソフト不正使用疑惑問題の調査を委嘱しました。第三者調査委員会は、12月に至り、「不正を認定する根拠に用いることは著しく困難」と判断し、また、久保九段が指摘した三浦九段の不正の証拠とした対局中の30分の離席の事実が認められなかったことから、三浦九段の一連の行為については「シロ」とする調査報告書を提出しましたことはまさに驚きの結果でした。この第三者委員会の調査報告書を受けて、本年1月、谷川浩司会長が引責辞任することになった次第です。全くの将棋連盟の早とちりとしか言いようが無い事件でした。将棋連盟は、今後、三浦九段に対して、竜王戦の挑戦資格をはく奪したことなどに対する補償を考えなければならないこととなります。 それでは、将棋連盟としては、どのように対処すべきだったのでしょうか、振り返って考えてみたいと思います。 確かに、昨年7月以降に三浦九段の疑惑問題が勃発し、週刊誌にも記事を掲載されそうになるまで、ある意味社会問題となっていたわけですから、将棋連盟として何もせず放置するということは最大の“悪手”となったことは想像に難くありません。以前の相撲協会の対応を見れば明らかなことでしょう。しかしながら、将棋連盟の致命的ミスは、「疑わしきは罰する」としてしまったことです。確たる証拠調べをすることなく、告発者らの主張、三浦九段の主張を聞き取りしただけで、竜王戦という(優勝賞金は4320万円、敗者賞金でも1590万円に上る)ビッグタイトルの挑戦権をはく奪するという“処分”をしてしまったことです。 公務員は、刑事事件で起訴された場合、刑事裁判で有罪無罪の判決が確定するまで、起訴休職という取扱いを受けます。これは、憲法における刑事事件の理念である「疑わしきは罰せず」を制度化したものといえましょう。一般の会社でも、就業規則で、起訴休職制度を取り入れているところもありますが、逆に起訴されれば直ちに懲戒解雇という会社もあります。このような会社は、「疑わしきは罰する。」ということになってしまい、今回の将棋連盟の三浦九段に対する処分と同じことだと言えるのではないでしょうか。将棋連盟においては、国家の様な検察官がいるわけではありませんが、連盟としては、“起訴”するかどうかをまず審査するための第三者委員会を設置すべきだったのではないでしょうか。その“起訴”委員会が「起訴相当」という判断をしたところで、初めて三浦九段を「起訴休職」として、対局の棚上げを決定すべきだったと思われます。万が一、「起訴相当」となったところで、今度は、“有罪”か“無罪”か、有罪とするとどのような処分を下すかという“懲戒”第三者委員会を設置して、決定を下してもらうという段取りを取るべきであったと思われます。ちなみに、弁護士会においても不祥事を起こした弁護士は、まず「綱紀委員会」という検察官の役割をする委員会が審査し、懲戒委員会での審査を求めるかどうかの判断をします。懲戒委員会での審査必要となれば、同委員会で審査の上、懲戒処分が下されるかどうかの決定がなされます。今後、将棋連盟でも同様な事件が起こるようであれば、綱紀第三者委員会をまず設置し、前裁きをすることが必要となるでしょう。そのような手順を踏むことを公にしておいたならば、世間も納得していたのではないでしょうか。 三浦九段の事件が佳境を迎えた頃、藤井聡太四段が、14歳2カ月という史上最年少でのプロ棋士になりました。わずか中学2年での快挙です。中学プロ棋士は、それまでに加藤一二三、谷川浩司、羽生善治、渡辺明とわずか4人しかおらず、4人とも名人・竜王のタイトルを獲得していますので、藤井聡太四段の将来は約束された輝かしいものといえましょう。このような将棋連盟の明と暗、今後の将棋界はどうなっていくのでしょうか。藤井聡太四段が名人になったときには、AIソフトにケチョンケチョンに負かされるような時代になっているのでしょうか。 |
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