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日本相撲協会の体質は変わったのか?

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[日本相撲協会の体質は変わったのか?]2018.1.1

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 皆さん、明けましておめでとうございます。本コラムを毎度お読み頂き有難うございます。本年も宜しくお願い致します。

 平成29年10月の日馬富士の貴ノ岩に対する暴行問題は、日馬富士の引退に留まらず、被害者貴ノ岩の師匠である貴乃花の責任問題にまで拡大して、それを引き金にしたのか、横綱白鵬の九州場所における「物言い」事件、「万歳三唱」事件、さらには、八角理事長に対する“巡業には貴乃花巡業部長を同行させないでほしい”発言まで出てきて、日本相撲協会は混乱の極みに陥っています。どうやら、日馬富士対貴ノ岩という問題ではなく、相撲道に対する貴乃花親方と白鵬との考え方の違いによる確執が問題の奥底にあるようですが、そのあたり、外部からはなかなか本当のところが分かりません。
 この日本相撲協会の問題を組織コンプライアンス的観点から考えてみました。まず、非常に違和感を覚えるのは、協会内部においても、世論においても、協会理事である貴乃花親方を責める声が意外と強いということです。すなわち、巡業部長である貴乃花理事としては、巡業中の事故については、鳥取県警に被害届を出す前に、八角理事長もしくは危機管理部長に事件を報告すべきであったのにしなかったということです。さらには事件後もだんまりを決め込んで何も話さない態度が悪いという声もあります。しかしながら、ビール瓶であろうが、リモコンであろうが凶器を持って殴打し、さらに素手でも殴打したという世間の常識からすれば悪質な暴行傷害事件であり、被用者(貴ノ岩)がそのような被害を受けた場合、雇用者(貴乃花)としてまず公法である刑法上の告発をすることは、一組織内論理よりも一市民のなすべき優先事項として当然のことではないでしょうか。
 また、協会の危機管理委員会高野利雄委員長が「貴ノ岩が素直に謝っておれば、日馬富士の暴行に至らなかった」旨の発言をしており、これは極めて奇異に感じました。謝る謝らないで暴行が正当化されることはなく、何よりも高野利雄氏のように元名古屋高検検事長という検察の中の幹部であった人が言うべきものではないと思います。貴乃花の巡業部長としての報告義務違反とは比べ物にならないのです。
 貴乃花巡業部長としての報告義務違反が詮議されるのであれば、既述した白鵬の「物言い」事件、「万歳三唱」事件、巡業同行拒否発言についての協会の処分が単なる厳重注意であることからすれば、貴乃花理事に対する処分が重くなるようにもないと考えます。マスメディアは、これら一連の事件の裏にあるものとして、既述した白鵬と貴乃花の相撲に対する考え方の違いという崇高なレベルではなく、モンゴル力士らとの貴乃花親方と確執、もっと広く言えば、取組に関する協会内部の確執といわれています。どうも、日本相撲協会中枢としては、正論をいう貴乃花親方を疎ましい存在としてとらえているのでしょう。だからこそ、貴乃花が何故先に協会に報告しなかったのかというのでしょう。しかし先に報告していれば、理事長から外部に公表しないようにという指示が貴乃花になされていたことは火を見るより明らかではないでしょうか。
 過去の時津風部屋力士暴行死事件、八百長事件、野球賭博事件が起きたその時には、「反省します。」「再発防止に努めます。」と言葉だけで乗り切ってきただけと言われても仕方ないと思われます。形だけの危機管理委員会を作っても、当の委員長が徹頭徹尾、協会よりの立場で全く公平性を感じません。本当に公平な第三者を入れるつもりならば、危機管理委員会のメンバーは例えば弁護士会に要請して、全く相撲協会と利害関係のない人を選任してもらうなどすべきではないでしょうか。結局、日本相撲協会は何も体質が変わっていないとしか言いようがありません。組織というのは人間と同じで“三つ子の魂百まで”という面があり、10年前に新人社員を過労死させて、再発防止に努めたはずがまた同じことを起こしているというように、なかなか体質というのは変えられないものです。だからこそ、本当に体質改善しようというのであれば、よほど出血がともなう改革をすべきでしょうが、今の協会では望むべくもないといったところでしょうか。貴乃花が真の改革者だとすると、正論を吐く者ほど組織から弾かれるという組織論理に負けそうなのは残念なことです。
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