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「桜を見る会」前夜祭の小さな嘘 |
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[「桜を見る会」前夜祭の小さな嘘]2019.12.1
私が独立するまでに所属していた法律事務所のボス弁はよく、「小さな嘘はばれる、大きな嘘をつけばばれない」と言っていました。大きな嘘というのは、例えばどこかの中央銀行総裁が、○○年までにはインフレ率を2%にすると言っていたにも拘らず、ちっとも実現しない“ウソ”であり、それにもかかわらず、総裁は全く責任を問われることが無いということに対し、こんなことはばれるわけがないだろうと思われる小さな嘘でもそれがばれたときには大きな騒ぎになるということを戒めていたものです。
「桜を見る会」というのは、明治14年に吹上御所で「観桜御宴」という行事が行われ、その後「観桜会」と名前を変えて行われていたのが前身と言われ、国際親善を目的として皇室主催で行われていたというものです。この観桜会を復活させる形で昭和27年に吉田茂が総理大臣主催の会として始めたのが「桜を見る会」というものです。「桜を見る会」の目的は、“各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労するため”であり、招待客の参加費や会場となる新宿御苑の入園料は税金から拠出されるという国家の公的行事なのです。当初の招待客は1万人程度だったものが、安倍政権下でどんどん増加し続け、今年は1万8000人にも上ったとのことです。カズ・レーザーのような芸人を呼ぶことの是非はともかく、幾ら大きな新宿御苑とはいえ、1万8000人もの人間が新宿御苑に入れば身動きが取れなくなってしまうのではないでしょうか。少なくとも、主催者の安倍首相が全員と親しく懇談をすることは不可能でしょう。せいぜいセレクトされた1000人程度が静かに桜を楽しむべきものではないかと思う次第です。招待客の増加の問題も野党側から叩かれているところですが、招待客の人選についても、安部首相後援会の面々を連れてきたり、公人の妻に過ぎない安部首相夫人の個人的推薦客も呼ばれているところも問題となっています。 ところが、“小さな嘘”が問題になりそうなのは、安倍首相後援会が開催した「桜を見る会」の前夜祭に関してです。今年の前夜祭については、ホテル・ニューオータニで、会費5000円を徴収して行われたというものですが、会費制なのに主催した首相後援会の政治資金収支報告書に記載がなく、野党は政治資金規正法違反の疑いを指摘しています。同パーティーは、政治資金規正法8条の2で規定する「政治資金パーティー」に該当するものであり、政治団体が政治資金パーティーを開催した場合、対価にかかる収入、支出などについて政治資金収支報告書に記載したうえ、総務省及び都道府県選挙管理委員会に提出する必要があるのですが、それが無いという小さな“ウソ”です。 さらには、野党からは、そもそもホテル・ニューオータニで会費5000円でパーティーを行うのは割安だとして(最低でも1万1000円するそうです。)、「首相側が差額を負担したのでは」との疑念がでています。もし、差額を安倍首相側が補てんしたとすると、有権者への寄付を禁じた公職選挙法に違反することになりますし、逆にホテル側が本来1万1000円以上するものを“忖度”して、5000円で請け負ったというのであれば、これはこれで政治資金規正法で禁じる寄付になります。首相は「費用は全て参加者の自己負担で報告すべき収支はない」と反論していますが、ホテル側からの請求書、およびその明細や、領主書などが出てくると安倍首相側としては反論しようがないのではないでしょうか。 私の元ボス弁が言っていたことに、「嘘のうちでも数字に関わる嘘は、言い訳がしようが無い。」というのもありました。数字というのは、白か黒かがはっきりして、グレーが無いというものです。安倍首相も、たかがパーティーの差額補てんという小さな嘘でも、数字という厳然たる証拠が出てきた日には、責任問題までつながる可能性があるのではないでしょうか。ホテル側も、首相側も、死んでも証拠は出さず、知らぬ存ぜずで通すつもりなのでしょうか。 |
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