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最近の解決事例紹介(不動産編)− マンションの明渡請求事件 2014.6.15

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 当事務所の顧問先社長から、その社長の所有する某所マンションについて、相当家賃が延滞しているので何とか処理をしてもらいたいという相談を受けました。どうやら7か月以上も延滞しているようです。どうして“どうやら”かと言いますと、私の依頼者が委任している当該マンションの管理会社の担当者が、延滞月についての整理をおろそかにしたため、先方の主張する延滞月数と、賃貸人側である当方の延滞月数が大きくかい離していたからと推測されます。とはいっても先方主張の延滞月数でも十分借地借家法における賃貸人・賃借人間の信頼関係は破壊されていると裁判所も認定してくれるほどの月数でしたので、まずは賃借人と任意で交渉してみました。
 先方からは、延滞している分を分割でも現行賃料に上乗せして弁済していくことで、何とか賃貸借を継続してほしいという要望を言われましたが、私の依頼者の方としては、とても分割で弁済できるレベルの延滞額ではないので、今回は賃貸借契約を解除した上で、賃借人には当該マンションから速やかに退去してもらいたいということで、結局、任意交渉では解決に至らず、裁判所に建物明渡を請求する訴訟提起ということになりました。

 提起した訴えの内容は、賃料延滞を原因とする債務不履行解除に基づく建物明渡請求および延滞賃料額相当額の損害賠償請求、それから連帯保証人に対する延滞賃料相当額についての連帯保証債務履行請求というものです。
 しかしながら、上述したとおり、管理会社の把握している延滞月数と、被告である賃借人が試算している延滞月数が異なるものですから、まずは損害額がいくらなのかで相当やり取りがありました。さらに厄介なことに、管理会社作成の賃貸借契約書において、連帯保証人の名前を間違って印字していましたので、連帯保証人から保証否認の反論を主張される羽目になってしまいました。例えば、鈴木さんを鈴本さんと間違って表記したようなものでした。

 結局、何回か審理を重ねましたが、裁判所からは早期解決するのが相当ということで和解を勧められました。原告と被告がそれぞれ別々に審尋されて説得を受けましたが、連帯保証人の保証否認については相当当方の分が悪いという裁判官の心証を聞かされ、和解案としては、延滞賃料請求を放棄した上で、引っ越し費用などについて和解金として支払うというものでした。
 依頼者としては、延滞賃料は入ってこない、さらに解決金まで支払わされるということで納得はされなかったものの、早期に解決をして早く出て行ってもらえば次の賃借人を入れられるということで受諾することとしました。建物の明渡日は、3か月後に指定されましたので、当該建物の占有を賃貸人側に回復して、明渡確認をした上で最終的に解決しました。

 本事件で勉強すべき点は、やはり、請求する相手方の名前を間違えるということは、裁判においては致命的であるということです。先程述べました鈴木を鈴本と間違えるというようなレベルは論外で、例えば、“さいとう”さんでも世の中には、齊藤、斉藤、斎藤、齋藤と色々な表記があり、それを間違えてしまうと、幾ら裁判所で勝訴判決をとれたとしても、その後に強制執行ができないという事態を招くことになります。“たかはし”さんも、高橋(くちたか)と橋(はしごたか)とありますので要注意です。また、延滞賃料の計算にしても、何か月も溜まってから泥縄で計算するから間違えるのであって、管理会社には、1ヶ月でも延滞したら直ちに弁済請求をしていくという緊張感を持った管理をしてもらえれば防げる話だと思う次第です。
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