東京で不動産や法律相談に関する弁護士へのご相談は神田元経営法律事務所へ
神田元経営法律事務所 TEL:03-6418-8011
平日 9:00〜17:00
お問い合わせ

遺産相続関連業務

TOP > [遺産相続関連業務]遺産相続に関するご相談は神田元経営法律事務所へ

業務内容

神田元経営法律事務所
〒107-0062
東京都港区南青山5丁目11番14号
H&M南青山EAST301号室
地図はこちら

遺産分割解決事例 − 土地の売買に隣地所有者の協力が得られないケース

約1年ほど家庭裁判所で調停手続に係っていた遺産分割が、ようやく調停が成立して終了しました。お父さんが亡くなられ、残された子供間における遺産分割に係る紛争でした。子供は、東京在住者と、西日本在住者です。相続財産中、最も主たるものは都内に所在する土地・建物でした。ところが、建物は相当古く、お父さんが亡くなられたときには、子供たちも誰もその建物には、住んでいない状態でした。

 私が東京側相続人の代理人としてアポイントされるまでは,東京側相続人ご本人が家庭裁判所の調停に出席していましたが、西日本側相続人が代理人弁護士を立てての遺産分割の調停申立をしてきたので、対抗上、こちら側もということでアポイントされたものです。

 当初、私のクライアントである東京側相続人が、当該土地建物については愛着があるので、自分が引き取りたい、“適正価格”で評価して、西日本側相続人には法定相続分の代償金を支払うと主張していました。しかしながら、こちらから提示した適正価格が折り合いつかず、私が代理人となってから当該土地建物を市場で売却して、その売却金を法定相続分で分けようという話になりました。確かに、市場で売却することで、“適正価格“であることは証明できるのですが、これからが大変でした。というのも、件の土地建物は、いわゆる2項道路という私道に面していて、セットバックをしなければいけないのですが、まあこれは土地面積が多少減るだけでよかったのですが、問題は、私道を隔てた向こう側(一応。隣地となります。)の所有者が、とてつもない難しい人だったのです。まず、市場で売却するには、土地の確定測量図が必要となりますが、その場合、隣地との境界が確定していなくてはならず、境界標がない場合は、隣地同士が立ち会って“合意”している境界に境界標を埋めるのですが、まず合意をしてくれません。さらには、両土地の間にある私道については、短冊状に分筆してお互いに所有権登記をしているのですが、間の悪いことに、公道にある下水道管まで、隣地所有者の所有留守私道部分の下に枝管が走っており、当方の土地からもその枝管につなげて下水を流しているのですが、「所有者が変わるのであれば、下水道管を使わせない。」と言われ、さらには、当該私道はセットバック前の狭い道ですので、自動車で通ろうとした場合、どうしても隣地所有者の私道部分を通らなければならないのですが、これも認めない(歩行者だけならばいいが)ということで、折角買い手候補者まで見つかっていたのに、市場での売却は流れてしまいました。

 当該物件市場で第三者に売却することが事実上不可能ということになり、西日本側相続人もそのことが良くわかったのか、結局、結構ディスカウントされた金額で代償分割、すなわち、東京側相続人が、土地建物を取得し、代償金を支払うことで調停が成立しました。

 この案件で学ぶべきことというと、一般論として、境界が不明確な土地は売れない、すなわち、遅くとも決済までに隣地の立ち会いを受けて、境界を確定し、確定測量図を完成させる必要があるということでしょう。良く“決済までに境界を確定させてください”という話になりますが、慎重に取り進めようというのであれば、土地の売買契約締結までに、確定測量図は完成しておきたいところです。確定測量図は、隣地所有者の立ち会いが必要となってきますし、特に“官”との立会確認については、アポを取るのに手間が掛かり、3か月程度かかる場合もありますので、土地を売却しようという場合で、確定測量図がない場合には、至急、土地家屋調査士と相談することが必要です。

 代償分割については、また、別の機会にお話しします。